[真朱] あたしはだいぶ冷静になった。 さっきまでずっと緊張で状況が理解出来てなかった所為か、 今は、ただただ、怖い。 「……うき」 「ゆうき」 「有希」 けど、大丈夫。 まだ生きてる。 「…なに?」 「いや、震えてるから」 屋上のフェンスの向こう側にあたし達は腰掛けていた。 竹之内の匂いがした。 抱き締められて、やっと視界が滲んだ。 「…死んじゃうの?」 嫌だよ、いや。 「大丈夫だよ」 絶対、死なせない。 自然と、唇が重なった。