文系男子。

一階まで降りて、車に乗った。
四方田だかと話している私服の若い男がいた。

背が高くて、金髪。

「…田原?」

その人しか思い浮かばない。
髪の毛の立たせ方だって、似ている。

「真朱。早く片足を乗せろ」

ジョーヴェに急かされ、あたしは車に乗り込んだ。

私服の男の耳に、見なれたシルバーピアスが光っていた。