[竹之内]
基本的に、裏の世界だと夜に活動をする事が多いらしい。
慣れた様子で目の前の松葉が拳銃に銃弾を詰めていく。
本物だ、模造品じゃない。
「…松葉さん」
「ん?」
「家族がいるのか?」
写真に仲睦まじい女と小さい女の子と、松葉が写っていた。
「…もう死んだよ」
俺が黙ると、ずっと前のことだよ、と苦笑した。
「…何処の人?」
「俺も…あいつも、イタリアだよ」
何処か遠くを見ている松葉の眼に、悲しそうな光が宿った。
「…すいません」
「大丈夫だ」
そこから互いに黙っていると、あ、と松葉が顔を上げた。
「茜のこと知ってる?」
「え…?」
「最近歓楽街に通ってるだろ?」
「ああ…はい」
「…随分とオトコに熱上げててなあ」
「へー…オトコかあ……オトコ?!」
「………この世の物とは思えない容姿だぞ」
「そー、なんですか」
それって酷い方?
それとも綺麗な方?
聞きたかったが、やめた。
「それがなあ…引き取るのが明日らしいんだが…どうなるんだか」
苦笑をする松葉を見ていると、
「あ、ごめん。気持ち悪い?」
と此方を向いた。
「いえ…」
話を聞くぐらいなら、平気だ。
流石に見せつけられたら、嫌かもしれないが。


