文系男子。


[Giove]

あーあ。
イケると思ったのになあ。

「…人質に手を出すな」

マルテが此方を睨み、言う。

「良いじゃねえか。暇なんだし」

「だからって口説くなよ…保身って言葉知ってる?」

「はいはいはいはい…今度から気をつけますよ」

グイッとビールの缶を俺に押し付け、マルテは空を見上げた。
はあ、と息を吐く。

「…どうしたの?」

マソオの言葉に、ん?と返し、マルテは苦笑した。

「疲れたなって」

マソオには伝わらない言葉で言う。

「……疲れたってさ」

俺が訳してやると、マソオはふーん、と言った。