[真朱]
「なあ、真朱」
ジョーヴェが煙草を咥えながらベランダに出る窓の枠に腰掛けていたあたしの隣に座る。
「…なんですか」
「明日…いつかはわかんねー、多分夜か…」
此処出るから。
「…何するんですか」
「取引、かな」
ジョーヴェは苦笑する。
煙草のにおいがして、噎せた。
「…悪い」
そっぽを向いて、煙草の火を揉み消すと、ジョーヴェはあたしの頬に触れた。
冷たい感触に身を強張らせると、ジョーヴェが喉の奥で笑う。
「なあ、真朱」
「…なに……」
「Mi piaci…」
え、なに?何語?
顎を支えられて、
え?キスされるの?


