「腕、……」 思いつく言葉が浮かばない様だった。 正直、あたしも思いつく言葉が無かった。 「…汚い、ので」 思い付いた様にマルテは言う。 腕がボロボロに傷ついていた。 自傷なのか、怪我なのか、分からない。 自傷にしては此処まで徹底的に傷つけるものなのか、 怪我なら、こんな腕に満遍なく切り付けられた痕が残るのか。 「…自分でやったの?」 「うん」 さも当たり前のことを言う様にマルテは袖を降ろし、すたすたと歩き出す。