「真朱ユウキって知らない?」 というか、未だ学校にいるか分かる? 「…もういませんけど」 今日は新聞部の方に行っていて、 もう帰ったのだ。 「もっと早く来れば良かったかな…」 笑顔に一瞬、悔しさと焦りが見えた。 「あの…真朱に何か…?」 「ああ、何でもないよ。ありがとう」 男は女の子が見たら卒倒しそうな笑みを浮かべ、校門の脇に停めてあった車に乗り込んだ。 「…何だ?あれ?」 谷内が呟いた。 ほぼ同時に雨粒が、降ってきた。