[真朱]

「あの」

「あ…あたしですか?」

図書館の帰り、声をかけられた。
"身なりの良いお爺さん"が絵から飛び出して来た様だ。

「そうです、そうです」
「何でしょうか…?」

「松葉さんて、ご存知ですよね?」

「え…あ、はい」

頷いた。

空が曇りはじめていた。