涼しい図書館。
ガキどもの避暑地の図書館。
ここーーー市立土器図書館は、4年前に建てられたばかりで、施設も本も結構綺麗。

そこに、男と女が二人。

男の格好はジーンズに真っ白だがくたびれたワイシャツ。
その中にまたまたくたびれた黒いポロシャツを着ている。
縁の太い黒フレームのメガネにはめ込まれているレンズも、かなり太い。
顔はそこそこ整っていて、カモナクフカモナク。
短髪には寝癖なのか整髪料なのか分からない髪の毛が遊んでいた。

女の方といえば、ショートカットに、この辺りの公立高校の制服を着ており、どこからどう見ても高校生。スカートはさほど短くない。

「ねえ…竹之内さん」

眉根にはシワがより、笑えば可愛い彼女の顔を台無しにしていた。

「…なに」

先に記しておくが、"彼"と"彼女"は付き合ってはいない。
ただたまたま図書館に通う日が重なって、そこから話すようになって、今に至る。

男ーーー竹之内(タケノウチ)、女ーーー真朱(マソオ)という。

竹之内は身を乗り出して真朱が差し出したノートに目をやった。


「……俺、文系なんだよねえ…」


竹之内は左手に持ったシャーペンで、ゴリゴリと頭を掻いた。