「それじゃあミーナ」

「ね、メールとかしていい?」

 助手席に乗り込もうとしたダグラスは思ってもみなかった言葉に目を丸くした。

「えっ? いいけど」

 電話番号とメールアドレスを交換し、互いに笑う。

 そうして少年が助手席に腰を落ち着けると車はゆっくり発進した。

 事件の解決にホッとしつつサイドミラーに映るミーナの姿に窓を開けて身を乗り出し、姿が見えなくなるまで手を振った。

「はぁ……」

 シートに体を預け、運転しているベリルの横顔を一瞥する。

「ベリルは失恋とか無いんだろうな」

 ぼそりとつぶやいて外に目を向けた。