──朝、ベリルの端末が振動し、リビングに向かう階段を下りながら端末をタップした。 相手はミハエル捜査官だ。 ミハエル捜査官とは旧知の仲で、彼がまだ小さな街の警官だった頃から友人関係である。 三十五歳でイタリア人の妻と六歳になる息子がいる。 「そうか、ありがとう」 通話を切りリビングに入ると、隣のニールがミーナと遊んでいた。 「あ、ベリル」 手を振るミーナに笑みを返し、ニールに目線を合わせるように片膝をつく。