クラウ・ソラスの輝き

 思考をめぐらせても掴めない。

 一歩でも近づきたいのに少しも近づけない、それがとても歯がゆかった。

 背後からの視線にベリルは目を据わらせる。

 理由を訊かれても「好きだから」としか応えられない。

 そこには重い感情も何も無い。

 そういえば、カイルも酒が好きだった事を思い出す。

 彼はブランデーではなくウイスキーを好んでいた。

 彼に数多く影響されていた事につくづくだと口角を吊り上げた。

 硬い黒髪と空のような青い瞳──ベリルの全てを受け止め、静かに見守ってくれた。

 口数は少なめだったが、おおらかに笑い豪快な性格だった。

 そして、発せられる言葉には力があった。

 そんな昔を思いつつ、ベリルは意識を遠ざける。