「若いのに凄いんだ」

「あ、うん」

 本当は五十一歳なんだけど……。

 まあ、二十歳で名が広まったらしいから間違いではないよね。

 二つめのパプリカを切り始める。

「何か基本とかあるの?」

「え? うーん」

 手を止めて考える。いざ訊かれるとすぐには出てこないらしい。

「ああ、携帯端末は絶対に着信音を鳴らすなって言われてる。あと、僕たちの携帯には必ずGPSがついてて──」

「あたしのにもついてるよ」

「だろうね」

 肩をすくめて苦笑いを返した。