きっと、何度もそんな痛みや苦しみを味わってきたと思う。

 それでも生き続けなければいけないんだ。

 嫌なら辞めたって構わないのに、ベリルは傭兵を続けている。

 歳だけ見れば引退したっていい年頃だ。

 それだけで、ベリルの言う「適正と判断した」という言葉は重たいのだと解る。

 ベリルは感情の起伏があまり無い、涙を流した所も見た事がない。

 でも、その方が辛いと僕は思う。

 ベリルの腕の中で男の子が息絶えた事があった。

 内戦で取り残された村の救助に向かったけれど、間に合わなくて煙が立ち上るなか悔しげに空を見上げてた。

 しゃがみ込み、その子を強く抱きしめて人形のような目で地面をじっと見つめていたのを覚えてる。