クラウ・ソラスの輝き

 末期癌で死ぬ運命を定められた事からの憎悪は、十五歳のダグラスをベリルの元に寄こし、少年の死と彼の名声の失墜を計画した。

 しかしそれは失敗に終り、両親を失った少年は晴れてベリルの弟子となったのだ。

 本当の父であるクリア・セシエルは五十五歳、ダグラスが十三歳の時に他界している。

 彼の名誉のためにも言っておきたい。

 彼はアイシャがハミルの妻だと知っていた訳ではなく、旅先で偶然に出会い、一夜を共にしただけである。

 強い男が好きだったアイシャは、彼が噂の流浪の天使だと知って誘惑した。

 彼もいっぱしの男だ、美女に誘惑されればつい誘いに乗ってしまっても仕方がない。

 まさか、子どもが出来ていたなどと知れば驚いた事だろう。