クラウ・ソラスの輝き

「今回のことには参っているのだ」

 リビングのソファに腰掛け、モリスは頭を抱えた。

 家族の、しかも大切な娘をターゲットに脅迫してきた事で、彼もリサも疲れ切っていた。

 契約の破棄も考えたが、彼が断ればその会社は倒産を余儀なくされ社員たちが失業に追い込まれてしまう。

「脅迫状が来たのっていつ?」

「二週間ほど前だ」

 ダグラスの質問に溜息混じりに答えた。

 一向に進展しない警察の捜査にも落胆しているのだろう。

「予告日とかは書いてないの?」

「書いていればとっくにどうにかしている」

 顔をしかめて返したモリスに少年はそれもそうかと肩をすくめた。