「大抵の奴はベリルに近付きたくて俺に近づいてくるからね」

 組んだ足を余裕をかますように揺らす。

 アキトは、ばれていたかと視線を外して頭をかいた。

「別に気にしてないよ。アキトとはいい友人になれそうだ」

 戸惑っているアキトを一瞥し、グラスを軽く掲げる。

「そか。良かった」

 ベリルの弟子だからと近づいてくる人間の中にだって、そういう出会いはある。

 出会いのきっかけの一つがベリルの弟子というだけだ。

 アキトはベリルに会いたがったが、だからといって簡単に会わせるのも躊躇われた。

 ベリルはさして気にはしないだろうけど、ぽんぽん紹介しまくるのはどうにもこちらの気持ちが差し支(つか)える。