──夜
「へえ、自衛隊にいたんだ」
二人はいつの間にかジュースからウイスキーに代わり、グラスを傾けていた。アキトはサバサバした性格で妙に会話が弾む。
「なんで辞めたの?」
「ん~、なんか」
アキトは言い出しにくそうに頬をかき、苦笑いを浮かべた。
「俺のやりたいことじゃないなって思ったんだ」
自国を護る事に誇りを持ってはいたけれど、自分に出来る事は別にあるような気がしていた。
「そんな時にさ──」
「ベリルの名前を聞いた」
グラス越しに放たれた言葉に、アキトは笑みを貼り付け無表情に見つめるダグラスとしばらく見合った。
「……あれ? 気付いてた?」
「もちろん」
ダグラスはアキトの表情に薄笑いを浮かべ、ソファに背中を預けた。



