──それから二週間後、ダグラスは南米での仕事を終えてニューヨークにもある家に帰ろうかと飛行場を訪れた。
タイミング良く目当ての飛行機がある訳がなく、暇を持て余していた。
「なあ、あんたダグラス・リンデンローブだよな」
突然に声をかけられて振り向くと、アジア系の顔立ちの男がそこにいた。
身なりは普通だが、持っているバッグに見覚えがある。
どうやら、先ほど完遂した仕事の中にいた一人らしい。
「正しくは、ダグラス・リンデンローブ・セシエルだけど。あんたなに?」
いぶかしげに見上げて付け加える。
「俺、アキト・セラ。よろしく」
ダグラスの表情を意に介さず笑顔で手を差し出す。
その手を一瞥しダグラスより若干、背の高い世良(せら)アキトに眉を寄せる。



