クラウ・ソラスの輝き

 ベリルの話も出てくるけど、歳の話は一度も出てこない。

 ベリルの周りの住人があの通り、普通にしているんだからハリーが騒いだって「むしろ自分がおかしいのだろうか」と思ってしまうのかもしれない。

 ただ、ハリーのひと言に今思えば吹き出してしまう。

<死ぬまで人生について相談出来る相手がいるってのは幸せだよな!>

 電話の向こうの声に、あのときは唖然とした。

 彼なりの受け止め方だったのかもしれない。

 ミーナとも年に数回は電話で会話を交わす。

 あの時の感情は今でも覚えているけど、やはり彼女に自分の世界を見せるイメージは無い。

 いつか、そんな相手が目の前に現れるのだろうか。

 そういう予感は今のところは無い。仕事で手一杯ということも理由の一つだけれど。

 そんな時がきたら、ベリルに紹介してみようかな。

 色恋沙汰にとことんうといくせして、彼の目は確かだから。