クラウ・ソラスの輝き

「出来たんだ!」

 一枚を手にして広げ、バンダナの端にプリントされているドラゴンの翼に剣のマークを嬉しそうに眺めた。

 傭兵たちの中には、自分を表すエンブレムを持つ者がいる。

 ベリルには刃を上に向けたその柄に一対の翼、その後ろに盾を簡略化したエンブレムがある。

 師に言われて作ったそうだが、センスあるなと感心した。

 ベリルの師という人物も気になるところだ。

 そのエンブレムを見て、ダグラスも独り立ちする時には作ろうと決めていた。

「さすがベリル」

 ダグラスはその出来栄えに満足した。

 これでようやくベリルの足元に近づけたとバンダナを撫でる。

 ハリーからは、今でもたまに電話がかかってくる。

 ヨットレーサーになる夢は挑戦し続けていて、「無理かもしれない」と諦めかけてはいるようだ。

 それでも彼は両親の反対を押し切って進んだ事に後悔はしていないようだった。