──それからダグラスは一年ごとに師を替え、二十五歳で独り立ちを果たした。
多くの師を持てたことはダグラスにとって貴重な経験で顔の広いベリルに感謝しかない。
弟子は師に似るというけれど、ダグラスもまたオーストラリアに主な居を構えていた。
距離がある方が色々と便利だろうと、合い鍵をベリルに渡してアデレードに住んでいる。
スタンダードな造りで白い壁が清潔感を表している。
「お?」
家に帰ると、ドアの横に荷物が届けられていた。
宛名は無かったが箱の隅(すみ)に小さく描かれたマークでベリルだと解る。
箱を持って家に入り、落ち着くと早速その箱を開ける。
「これは──」
箱の中には、青いバンダナが数十枚ほど詰められていた。
やや明るめの藍色をした、落ち着いたその風合いに口元を緩める。



