──そうして月日は過ぎ、ダグラスは二十歳を迎えた。
「ベリル。相談したいことがあるんだけど」
リビングのソファでハンドガンの手入れをしていたベリルの斜め横にある一人掛けソファに腰を落とし、おもむろに切り出した。
ベリルはやや眉を寄せつつも、神妙な面持ちのダグラスに手を止めて言葉を待った。
「俺さ、他の傭兵にも技術を学びたい」
「相手は決めているか」
「え? まだだけど」
唐突に持ち出した話だというのに、さして驚くこともなく聞き返したベリルにダグラスは拍子抜けした。
ベリルは閉じていたノートパソコンを開き、一つのファイルをダグラスに示した。
「──これ」
そこには、ベリルが馴染みとしている傭兵の名前が連ねられていた。
しかもダグラスが苦手とする、山岳地帯における戦闘のエキスパートたちだ。