俺は時々、実の父であるクリア・セシエルについてベリルに尋ねてみる。

 たった二度しか会ったことのない人間のことを長々と話せるはずのないことは充分に承知している。

 けれども、父のことを話すベリルはいつになく瞳を輝かせているように見えて、俺はついつい問いかけてしまう。

 俺にもいつか、そんな友達が出来るのだろうかと考える。

 二人は二度しか会うことは出来なかったけど、それが俺をここまで導いてくれたんだ。

 今でもベリルは、俺が傭兵を目指すことを良く思ってはいないだろう。

 でも俺は、ベリルが貫き通している意志を受け継ぎたい。

 生活もままならない状態になるかもしれない。

 それでも、偽善だと言われ続けても曲げることのない想いが少しでも誰かに伝わるなら、それが俺の意志だから。

 何もしないうちから無駄だと諦めたくはない。

 何もしない奴に無駄だと言われようと構わない。