クラウ・ソラスの輝き

「9mmパラベラム弾をふた箱」

 器用に結った白髪交じりのブロンドの老婆は、それを聞いてよいしょと立ち上がりカウンターの奥に引っ込んだ。

 しばらく待つと紙箱を二つ手にして戻ってくる。

「振り込みだね?」

 9mmパラベラム弾とは、彼ら二人が主に使用する拳銃用の弾薬(アモ)である。

 弾薬が無ければ銃など、ただの鈍器に過ぎない。

「後で振り込んでおく」

 ここは知る人ぞ知る、傭兵御用達の武器屋だ。

 もちろん正規のルートで仕入れている、至って真面目な商売をしているまともな店である。

 信用のおける相手、常連にしか物を売らないというのが、この店のルールなのだとか。

 ベリルはこの店ではお得意さんであり、老婆とは数十年来の付き合いだ。