懸命に掴み留めようとする指の隙間から命は虚しくすり抜けていく。

 遺体の前で片膝をつき、うつむいている姿はいつもの強いベリルを弱しく映し出す。

 ダグラスは、ただじっとそれを眺めているしかなかった。

 ──バイクにまたがり、遠方に見える工場をスーザンは眺めた。

「あなたの能力、見せてもらったわ」

 口角を吊り上げて走り去る。

 ベリル・レジデントについては今後も調査を継続し、活用していく事がベストだろう。



 そうして、ダグラスの初めての大きな戦いは苦いものと終った──