クラウ・ソラスの輝き

「ローランドは自分の意志でお前の前に出た。決してお前だけのせいではない」

 ダグラスの脳裏に甦るかつての記憶、父親に殺されかけた記憶は深く心に突き刺さっていた。

 絶望の笑みを浮かべ、

「だって……。僕は、いらない人間なんだろ」

 その時の言葉は、ベリルの心までも締め付けた。

 共に、そのときの記憶が蘇っている。

 どんなに月日が経とうとも、あの傷が完全に癒えることは無いのだと解ってはいた。

 ベリルは、自分と同じ道を歩むことでその痛みが呼び覚まされることをずっと懸念していた。

 ダグラス自身もそれを充分に感じていたただろう。

 それでも目指したいというのなら、私に止める権利はない。

 強い意志の止め方を私は知らない。

 落ち着きを取り戻したダグラスを見つめ、その額に願いを込めたキスを落とす。

「己のせいで誰かが傷つくのを恐れるならば強くなれ。誰かを救いたいと願うなら優しくあれ」

 それが、私とローランドの願いだ。