少年は衣料品店に、ベリルは路地裏に入っていく。

 大通りから一歩外れると道は細くなり、狭い路地裏を進んでいくと目当ての店はひっそりとそこにあった。

 本当に営業しているのかと思われるほど静まりかえり一際(ひときわ)、薄暗い様相を呈している。

 ベリルは中の気配を確認すると重たい引き戸を開き、奥にいる老婆に目を合わせた。

 置かれているのは大小のネジだが、こんな店に何の用だろうか。

「何が欲しいんだい」

 無愛想な老婆はカウンター越しにベリルを見やると、馴染みの客のように口を開いた。