クラウ・ソラスの輝き

「徐々に接近。油断するな」

 すでに敵も味方もバラバラで混戦状態になっていた。

 生き残っている相手の人数も見当が付かないほどだが、こちらと同程度の数だろうと予測はしている。

 このまま続ければベリル側の勝利だ。仲間たちもそれを感じ、武器を持つ手に力を込める。

 しかしダグラスはベリルを見下ろし、意を決したように飛び出した。

 経験も浅く、高揚した気分は人を思いがけない行動に走らせるものだ。

 視界の端で疾走する影に驚き目を向けたベリルは一瞬、体を強ばらせた。

「ダグラス! 待て!」

 手を伸ばしたが間に合わず、するりと抜けて駆けていく背中に眉を寄せる。

「──っあいつ」

 舌打ちしてあとを追う。障害物を盾にしながら進んでいるのか、ダグラスの姿をなかなか見つけられないでいた。