「気にしない」

 ダグラスはそんな仲間に笑いかけ、仲間と彼の両肩を抱えて後方に下がる。

 そうして西門の近く、トラックを盾にして仲間が怪我人の応急処置を行っている場所にたどり着いた。

 そこには──

「エ!?」

 ダグラスは、目(ま)の当たりにした光景に目を見開き、喉を詰まらせた。

「こんな……」

 怪我人は五人や十人どころじゃない。

 ざっと数えても二十人以上はいるだろう。

 戦地に取り残された一般市民じゃない、戦う力を持つ仲間がこんなにも横たわっている。

 経験のない光景に、夢ではないかと思ってしまう。

「いま前線には何人いるの!?」

 怪我人の治療をしていた仲間は、その問いに表情を険しくした。

「おそらく、二十人ほどだ」

「そんな」

 半分以下だなんて!

 背後から聞こえてくる銃声と、目の前の無数の怪我人に戦慄する。