ダグラスはワイトがベリルの教え子だった事をのちに知る。

 ベリルは彼にレンジャーの技術をたたき込んだ。

 それだけの才能があったのだろう。

 ゆらりと立ち上がるベリルの姿に、どこか非現実的でいて確たる存在であるかのような不思議な感覚にダグラスは魅入られた。

「ぐあっ!?」

「ジャン!?」

 目の前で銃弾を浴びた仲間に思わず声が上がる。

 しかし、駆け寄るはずの足はついぞ動かない。

「あ──」

 ダグラスは傷ついていく仲間を呆然と見つめていた。

 こんな光景を目にするのは初めてじゃないのに、どうしてだか胸が詰まる。

 そうだ、こんな大きな戦闘はあのとき以来だ──ベリルの評価を下げるためと、自分を殺す目的で仕組まれた父親の計画。

 あの時に初めて自分が本当の息子じゃないと知って愕然とした。

 ダグラスの脳裏にあの時の記憶が蘇り、呼吸が荒くなる。

「何をしている」

「ハッ!?」

 低い声が自分の名を呼び、振り向くとエメラルドの瞳が冷たく見つめていた。