「ワイト!」

 名を呼んだ数秒後、低い呻き声が耳に届く。

<──っベリル。準備、してろよ>

「ワイトよせっ!」

 小さな金属音が聞こえてベリルは顔を上げる。

 二度目の地鳴りに口の中で舌打ちをし、険しく目を吊り上げた。

「攻撃態勢。来るぞ」

 その言葉に仲間たちが一斉にライフルを構える。

 ワイトたちが入った入り口とは別の入り口から、幾つもの人影が次々と出てきた。

 その影はこちらに気付き、無数の銃弾が激しく浴びせられる。

「少しずつ追い詰めろ」

 言ったあとベリルは頭(こうべ)を垂れ、タンクに付いていた手を握りしめる。

「あとで迎えに行く」

 そばにいたダグラスは聞こえた言葉に一瞬、驚いた。

 今の言葉はワイトに言ったの?

 生きていない相手に?