クラウ・ソラスの輝き

「報告は怠るな」

「もちろん」

 ベリルは、軽く手を挙げ工場に向かう仲間たちの背中をじっと見つめた。

 待機している仲間たちも固唾を呑んでヘッドセットに耳を傾ける。

<どうやらここはマリファナやコカインを保管する倉庫らしい>

 ワイトの報告では、あちこちにトラップが仕掛けられていて、これ以上の人数が侵入すると危険だということだった。

 攻め込まれた時のために、あらかじめここを迎撃場所としていたのだろう。

 しばらくして銃声が鳴り響いた。

 ベリルの表情はいつになく硬く、ヘッドセットから聞こえてくるワイトの声と音に苦い表情を浮かべた。

「ワイト。一端、退け」

<もう少しだ!>

「命令に従え、ワイト」

<もう少し待ってくれ>

「だめだ、ワ──」

 ベリルの言葉を待たずして、ヘッドセットから爆発音が響いたと同時に工場がズシンと揺れた。