──ベリルは廃工場の西、十五メートル付近で車を駐める。

 A班とB班の仲間が集まり工場の門に目を凝らした。

「やっぱり、いるな」

 遠目からでも見える人影にワイトがつぶやく。

「うむ」

 このまま突っ込むのではなく、まず牽制程度に発煙筒を投げ込む手はずだ。

 四方同時での決行で敵の分散を狙う。

 対峙する数をほぼ均等にする事で侵入しやすくする算段だ。

 一方に集中させる事も考えたが、それではこちらの戦力もかなりの差を作らなければならない。

 同じだけの戦力に別れて侵入した方が効率が良い。