「ダグ」

 呼ばれて振り向く。

 歩み寄るスーザンを視界に捉え、まだ懲りてないのかと呆れる。

 スーザンはダグラスの隣に同じく、ピックアップトラックの荷台にもたれかかり宙を見つめた。

「あなたたちが私を嫌うのは仕方ないわ。私だって間違っていると思うこともあるもの」

 意外な言葉が聞かれて思わずスーザンを見下ろす。

 ダグラスはふと、見つめ返す愁いを帯びた彼女の瞳に胸を高鳴らせた。

 さっきはきつく言い過ぎたかなと少し申し訳ない気持ちになる。

「ベリルを取られたくない?」

 それに眉間にしわを寄せるダグラスから視線を外し小さく笑った。

「そうよね。今はあなたのお父さんだものね。父親を取られたくないのは当り前──」

「違うよ」