クラウ・ソラスの輝き

 前にあるタンクが工場内に陽を差し向ける事は無い。

 果たしてこのタンク、工場が建てられた当初からあったものなのか疑わしい。

「西の門がもっとも敵が多いだろう。二つのチームで幅広く突入する」

 ダグラスはその様子をじっと見つめ、わずかな事も見逃さないベリルを尊敬すると共に、彼のように自分もなれるのかと不安が募る。

 ベリルみたいな才能は自分に無い事くらい解っている。

 ベリルは自分のようになれだなんてひと言も言わない。

 自分に出来る事をやればそれで良いと言うだけだ。

 己の持てる力を可能な限り活かせるようにする事が大事なのだと。

 技術を盗むということは模倣することじゃない。

 いかに自分の力として吸収するかなんだ。

 時々それを忘れかける。

 ベリルは今も自分の限界を越えようとしている。

 それを見ていると、出来ることに限界は無いはずだ、自分から限界を認めちゃいけないんだと思える。