クラウ・ソラスの輝き

「まず重要なのは西だ」

 それに、西と答えた数人がガッツポーズをとった。

 敷地の周りにはぐるりと黒く塗られた鉄柵が張られているが、すでにあちこちが破れていてそこからの侵入が可能である。

 工場内に入る門は西と南に一つずつあり、出入りするのは主に西の門だと調べが付いている。

 よって、西門の左側には警備員が常駐する小さなプレハブがある。

 そのすぐ先に警備員たちが寝泊まりする警備棟があり、その奥に第一倉庫がある。

 溶接工場は東に位置しており、南には巨大なタンクが二つある。

 熱を冷ます真水を入れていたものだろう。

 外からでは工場内の詳細を窺い知る事は出来ない。

 ベリルが西と答えたのには単なる入り口だからではなく、ちゃんとした理由があった。

 一番の問題は西にある警備棟と監視塔だからだ。