クラウ・ソラスの輝き

「理由はいくつかある。夜戦ならば確かにこちらが有利だ。しかし正式な攻撃ではない以上、表立った守りが出来ない」

「──そうか」

 ヨアヒムの声のあと、全員が苦い顔をした。

 エクアドル政府にとって大きな犯罪組織は間違いなく邪魔な存在だが、ベリルたちに協力的ともいえなかった。

 加えて、ベリルたちがアメリカ政府と連携している事も影響しているといえなくもない。

 本来なら工場の周囲に警官を配置していてもおかしくはないのにそれを一切、行っていない。

 それはつまり銃撃戦を許可し、多少の損害は不問とするが政府は公然的な関与はしないという暗黙のルールを突きつけられているということだ。

 夜間の銃撃戦は視野が狭くなる。

 市街地での戦闘で戦地との区切りを設けられない状態では、周辺住民に大きな危険が及ぶ可能性がある。