「期待している」

 彼女の態度にさして反応を示さず無表情に応え、他の仲間と打ち合わせをするために遠ざかった。

「──はぁ~」

 えもいわれぬ威圧感から解放されたスーザンは深い溜息を漏らす。もちろんベリルは威圧していた訳じゃない。

「ああ、恐かった」

「恐い?」

 ダグラスはスーザンの言葉に口の端を吊り上げる。

「後ろめたいことでもあるの?」

「嫌な子ね」

 そんな彼女に鼻で笑って続けた。

「あなたは要請外の人だから、ベリルと俺を含めて全部で五十三人だね」

「そうね」

「諜報員てどんな動きするのか楽しみだよ」