「お気遣い無く~」

 ダグラスが子供らしい笑みを返す。

 ベリルはこういう事が苦手だと知っているため、自分が応対するようにしていた。

 彼がまともに応えたら、逆に相手が気を遣ってしまうからだ。

 どうせ、「うむ」とか言うだけで愛想笑いなんか全然しないんだろう。

 何か気に入らない事でもあるんだろうかって気にするじゃないか。

 とはいえ、この顔で愛想良くてもチャラくなるだけか。

 ある意味、これがベリルの正しい態度なんだなと妙な納得を覚えた。

 そうこうしているうちに階段の方から足音が聞こえてきて、少年は自然と口角を緩める。

 さあ、彼女はベリルにどう反応するのかな?

 ダグラスはワクワクした。