クラウ・ソラスの輝き

「本拠地はエクアドルにあるのか」

 ダグラスはぼそりと発した。

 エクアドル共和国の首都キトはアンデス山脈の中腹にあるため比較的涼しい。

「ジャングル地帯じゃなくて良かった。虫が一杯なんだもん」

 肩をすくめたダグラスにベリルは口の端を吊り上げる。

「でっかいムカデが背中を這ったときの感覚ときたら!」

「ククク」

 ダグラスの身振り手振りがおかしくてふいに笑みをこぼす。

 ダグラスは、こんな風に笑うベリルが好きだった。

 感情の起伏が緩やかな彼の取り崩した顔や焦ったようなしぐさに何故かホッとする。