あれだけの容姿なら、女性をはべらせていてもいいだろうに。

 十六歳の少年が考えるような事でもないような気がしないでもないが、一緒に暮らし始めた当初、ダグラスはそう思っていた。

 ちょっと背は低い気はするけど。

 もうしばらくしたら僕、追い越しちゃうもんね。などと鼻を鳴らす。

 ベリルは二階から降りてくるダグラスを視界に捉えアイスティの入れられた透明のグラスに手を伸ばした。カランと小さく音を立てて氷が傾く。

「どうだ」

「降りてくるって」

 応えて隣に腰掛け、自分の分であろうグラスを手に取る。

 リサはクッキーを皿に乗せベリルの前に置き、向かいのソファに腰を落とした。