「色々と問題もあるのだろう。本当の名は聞かないでおく」

「アハハ……」

 しれっと発したベリルにスーザンは言葉も無く笑みをこぼす。


「あなただから見抜けたと思っていいかしら」

 そうでなければこちらの面子(メンツ)が立たない。

「どうだかね」

「データ通り、のらりくらりとした受け答えね。やんなっちゃう」

 彼女はまるで少女のように怒ったふりをして肩をすくめた。

 ダグラスはそんな仕草に少し可愛いと感じてしまい、つい顔がほころぶ。

 どうも自分はこういう仕草に弱いんだなと苦笑いを浮かべた。