「タイミングが良すぎる。ただ殺しをしないというだけでは私が彼を殺さない理由には成り得ない」

 ローランドが接触してきた時期とスーザンが訊ねてきたいま、まるで計ったようにあまりにもタイミングが良すぎた。

 そして、ローランドはベリルの特徴を知りすぎていた。

 よほど詳細なデータを見て研究しつくしたのだろう、それが返って仇になった。

 徹底した傾向と対策を練ったことでベリルに違和感と疑念を抱かせてしまい、多くの思考を広げさせることとなりこの結論にたどり着いた。

 CIAが人道的な組織ではない事は知っている。

 警察やFBIとは異なり諜報活動はもちろんのこと、国家の利益のためには時として殺人も厭(いと)わない。

 国内外を問わず常に情報収集をしているCIAにとって、国益を損なうものであると判断しての行動なのだろう。