「正確にいえば僕の師匠だけどね」

 そんな感情を悟られないように震えそうな声を必死に抑えた。

「師匠?」

 少女が首をかしげるその仕草がたまらなく可愛く思えた。

「僕はまだ弟子なんだ。傭兵の」

「傭兵? ガードじゃないの?」

 顔に見合った可愛い声で問いかける。

 傭兵を目にするのは初めてなのだろう、その目は好奇心に満ちていた。

 おおよそ、彼女のイメージとは真逆に位置しているベリルを見た時の彼女の顔が思い浮かんでダグラスは心の中で笑った。

「じゃあ、あとで下に来て。紹介するから」

「うん、わかった」

 可愛い子だな、ダグラスは素直にそう思った。

 まあ、ベリルは何の反応も示さないんだろうけどと薄く笑う。

 彼の側にいて解った事は、恋愛感情やそっち方面にはとんでもなく鈍いという事だ。