*タイミング



「もう一つ」

 動揺を隠しきれないスーザンに左の人差し指を立てて続ける。

 まだ何かあるのかと彼女は眉を寄せごくりと生唾を呑み込んだ。

「ローランドも仲間だな」

 女はビクリと体を強ばらせ、ベリルを凝視する。

「えっ!? まじで!?」

 事実だと知らしめる彼女の表情にダグラスも目を丸くした。

 ベリルの洞察力には相変わらず頭が下がる。

「どうしてそうだと」

 スーザンは空恐ろしくなり、詰まる喉から絞り出すように問いかけた。

 彼に渡したデータは「ローランド・H・セルテス」としてのデータだ。

 不備はない。