「サイクロン?」

 ベリルは口の中で発した。その口元にはうっすらと笑みが浮かんでいる。

「本当の事を言わないつもりなら依頼は受けない」

「っ!?」

「え?」

 足を組みスーザンに無表情な顔を向けるベリルの瞳は厳しかった。

 しばらくの沈黙のあと、女は諦めたように肩を落とし溜息を吐く。

「やっぱり、あなたに嘘は通用しないのね。どこまで気付いているのかしら?」

「傭兵は“副業”だろう、独特の“なまり”がある。誤魔化せているようだが、そのクセはなかなか抜けるものではない」

 淡々と語るベリルに、スーザンのこめかみから冷や汗がつたう。

 完璧だったはずだと自分に言い聞かせるが、射抜くエメラルドの瞳を見返す事が出来なかった。