クラウ・ソラスの輝き

 余力があるなら傭兵としての知識を少しでも身につけたいダクラスにとって、師であるベリルから離れて寮に入るという考えは初めからない。

<彼の学力ならもっといい大学にも入れますのに>

「あそこは生物学に力を入れていてね」

<生物学……?>

「ダグは人体について勉強するつもりらしい」

<そうですか。それで、彼は何年で出るつもりだと?>

「二年で試験を受けると言っているようだが、三年は必要だろう」

<彼の担任になれて幸せでしたわ>

「そう言ってもらえると有り難い」

 通話を切り、思い出したように口元を緩めた。

 それは、ダグラスの成長をほほえましく思う感情からなのか、自分が親代わりをしているという呆れからなのかは解らない。

 すでに入学試験には合格し、数日後には大学に通う事になるダグラスはその準備に追われていた。