──それからは何事も無く、あっという間に三週間は過ぎる。
初めて留守番をしたとき、ベリルは食事の世話を料理の出来る傭兵に頼んだ事があった。
ダグラスはそれが嫌で「一人で大丈夫だから次からは呼ばないで」と頼むと、彼はそれを素直に受け入れた。
少し拍子抜けしたが、なんとなく悪い気がして留守番の間は自炊するようになった。
ちょっとした我が儘だったのだが、ベリルにはものの見事に通用しなかった。
少年を信用したのか、ただ突き放しただけなのかは解らない。
しかし、素直に聞いてくれたベリルの言動で「もしこれで変なことをしたら、全ては自分のまいた種」だという事を痛感した。
結局はベリルの思うつぼなのである。
のらりくらりとしているくせに、要所要所は絶対に外さない。



