クラウ・ソラスの輝き

「娘さんは」

「部屋にいるわ」

「同じ年代同士でまず馴染んだ方が良い」

 立ち上がって階段に向かうダグラスにリサは少し戸惑ったが、ベリルが軽く手で制止した。

「そうですわね」

 女性は見事なブロンドをかきあげ、飲み物をベリルの前に差し出した。

「主人はまだ会社なの」

「いつ帰られますか」

「二~三時間もすれば帰ってくると思うわ」

 答えた女性に頷く。

 丁寧な物言いに慣れていないベリルは口調を戻すタイミングを見計らっていた。

 幼少に受けた教育で尊大な物言いが定着しているベリルには、一般人と接する口調がとても苦手なのだ。

 そういった意味でも彼が護衛の仕事を受ける事は稀である。